ハシビロ考

 入船3丁目に新しい店ができた。カフェなんて言いたくないけど、まぁ、カフェなんだろうな。この状況下で、飲食店を開く奴の気が知れないが、知らない仲でもないので、冷やかしついでに行く。と言いつつ、実は2回目。
 元来、人見知りをしない人を信用できないたちで、とは言い過ぎか、苦手ぐらいにしておきますか。一緒にいて落ち着かないのだ。その点、店主はとびっきりの人見知りなのはいいが、彼にまともな接待ができるのだろうか。しかも、朝7時から夜の9時まで営業するという。いつまで続くかしらん。と思いきや、いっちょまえに会話もし、愛想笑いなどもしている。オレより外面いいじゃないか。
 パエリアとホットサンドとコーヒーを注文。しまった。前回と同じものをたのんでしまった。まぁ、いいか。
 店内には、CDやら本などがずらっと並んでいる。よくこういう恥ずかしいことができるものだと思う。無頓着なのか、よっぽどの自信家なのだろう。つい、背表紙を目で追ってしまう。品定め延いては人物定めになってしまって、気が引ける。と言いつつ・・・ははぁ、彼とは、音楽と本の話はしないほうがよさそうだ。合わん。と、脈絡もなく、向田邦子の名が。3冊のうちの1冊を抜き取り、席に着いた。エッセイストとしては、向田邦子と幸田文が好きだ。オーダーが来るまでのつもりが、食後もしばらく居座って、読み込んでしまった。やっぱいいなぁ。(途中、彼が笑顔で現れて、ノンアルコールビールを置いて行った。だまされんぞ!)小一時間はいたろうか。ほかに席も空いていたようだし、許されよ。
 ふー、と、ため息をついて本を閉じ、余韻にひたりながらの帰り際、玄関でご帰宅の細君(太いけど細君とはこれ如何に)と鉢合わせ。
あら、きんさん(オレのこと)どうしたの?
どうしたもこうしたもない。昼飯を食いに来たに決まってる。とは、言わないで、作り笑顔でバイバイ。女の趣味も合わん!

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